障がいや病歴のある方が就職・転職を考える際にはクローズ就労とオープン就労のどちらを選ぶかで悩むことが多いです。自分に合った選択をするためには、それぞれの働き方の特徴を正しく理解することが重要です。本記事では、クローズ就労の概要をはじめ、働き方の特徴やメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
そもそもクローズ就労とは
クローズ就労とは、障がいがあることを企業に開示せず、一般の社員と同じ条件で働く就労形態です。採用時に障がいを申告しないこと自体は違法ではありません。違法性と注意点
障がいを開示しないことは法律違反にはなりませんが、企業の就業規則により、虚偽申告や就労困難が判明した場合に解雇の対象となる可能性があります。そのため、結果的に働き続けられなくなるリスクには注意が必要です。
関連する法制度
労働契約法第5条では安全配慮義務が定められ、労働安全衛生法でも企業は労働者の健康維持のための措置を講じる必要があります。こうした観点からも、企業が適切に配慮するためには健康情報が重要になる場合があります。
オープン就労との違い
オープン就労は障がいを企業に開示し、必要な配慮を受けながら働く方法です。障がい者雇用枠や一般枠での就労があり、職場から支援を受けやすい点が特徴です。一方、クローズ就労は配慮を受けにくく、自力で業務に適応する必要があります。
クローズ就労のメリット
障がいのある方が就職・転職を検討する際には、クローズ就労とオープン就労のどちらを選ぶかによって、働き方やキャリアの方向性が大きく変わります。ここでは、オープン就労との比較を踏まえながら、クローズ就労の主なメリットについて整理します。
給与水準が比較的高い
クローズ就労では、一般枠の正社員として採用されるケースが多く、障がい者雇用枠と比べて給与水準が高くなる傾向があります。企業によっては昇給や賞与制度も整っており、経済的な安定を得やすい点が特徴です。ただし、実際の給与は雇用形態や勤務時間、業種によって大きく異なるため、一概に高いとはいいきれません。
求人数や職種の選択肢が豊富
一般枠の求人は障がい者雇用枠よりも圧倒的に多く、選択肢が広いことが大きなメリットです。実際、同じ条件で検索した場合でも一般枠の求人数は障がい者雇用枠より大幅に多く、希望条件に合う職場を見つけやすい傾向があります。
また、事務職や一般職に限らず、総合職や専門職など幅広い職種に応募できるため、自分のスキルや興味に合わせたキャリア選択が可能です。
キャリアアップの機会が多い
クローズ就労では、総合職としてさまざまな部署を経験したり、異動を通じて業務の幅を広げたりする機会が多く、キャリアアップにつながりやすい環境があります。専門性を深めるだけではなく、多様な経験を積むことで昇進や昇給のチャンスも広がり、将来的な転職や独立にも役立ちます。
また、実績を積み重ねることで自己効力感が高まり、自信をもって働けるようになる点もメリットのひとつです。
クローズ就労のデメリット
障がいのある方が働き方を選ぶ際、クローズ就労には給与やキャリア面でのメリットがある一方で、見逃せないデメリットや注意点も存在します。とくに、障がいを開示しないことによる精神的負担やサポート体制の制限は、長期的な就労に大きく影響する可能性があります。
障がいを隠すことによる精神的な不安
クローズ就労では、障がいを隠しながら働くこと自体が心理的な負担となる場合があります。「知られてはいけない」という意識が常に働くことで不安や緊張が生じ、業務への集中力やパフォーマンスに影響するケースも珍しくありません。
さらに、無理を続けるとストレスが蓄積し、うつ病や不安障がいなどの二次的な不調につながるリスクも指摘されています。そのため、精神的な負担とどう向き合うかが重要な課題となります。
障がいに対する配慮が受けられない
クローズ就労では障がいを開示していないため、基本的に業務内容や配置に特別な配慮を受けられません。苦手な業務や負担の大きい作業を担当する可能性もあります。たとえば、注意力に課題がある場合でも細かい事務作業を求められる状況があり、業務負担が大きくなるおそれがあります。
また、体調の波によって休暇が増えると職場からの評価に影響する可能性もあり、働き続けるうえでの負担につながる場合も多いです。
支援機関との連携サポートが受けにくい
オープン就労では就労支援機関と企業が連携し、定期面談や業務調整などのサポートを受けられます。しかしクローズ就労では、支援機関が職場に直接関われないため、職場との調整支援が受けられません。結果、困りごとを1人で抱え込みやすくなり、適切な対処方法を見つけにくいという課題が生じます。